レイアウトプラン作成時の留意事項

あちらこちらで脱線ばっかりとか、そんなことに手を割かれるのを減らすための、禁止事項や回避事項などの注意点を列挙します。体験運転の他、持ち込み運転で改造した走行の危なっかしい車両が来ようが何だろうと、「どんな車両でもかかって来い。」と待ち構えるつもりの内容です。

基本的心構え

基本的に、コントローラーから手放しで運転できるようにすること。
曲線や勾配で、特定の場所でコントローラーのつまみを操作する必要のある配置は避けるべきである。
例えば、上り坂ではコントローラーのつまみを回さないと登りきれずに停まってしまうとか、その坂を登れるスピードのまま下り坂のカーブに入ると脱線するような配線は避けること。

また、体験運転で子供が高速走行させても耐えられるように、という点も重要な事項である。自分の持って行った車両がたまたまうまく走らなかっただけで文句を言われるレンタルレイアウトでのレイアウトプラン構築にも役立つだろう。

今回はレール配置図を作るまでの、事前に考慮すべきことを述べていく。

曲線関係の回避事項

S字カーブ(反向曲線)の間には必ず直線を入れること(S70やS62、あるいはS字カーブの片方をポイント用カーブというのも可)。
これのあるなしで脱線の頻度が違う(短編成の場合でも)。
また長編成の場合では、ポイント用カーブ等での複線間隔変更以外では、S字になることを避ける方がよい(可能であれば、S字曲線を使っての複線間隔変更自体も避けた方がよい)。
(なお、短編成用の線路の場合では、ポイント用カーブを使うと、直線を縦・横・斜め45°以外の向きにしやすくなるので、見た目の単調さを減らすのにも有効である。)

ポイント用カーブ(赤丸)を使って変化をつけ、また通常半径でのS字カーブを避けている。青丸部分はS字カーブの間に入れた直線。

通常半径でのS字カーブでは、復元バネの入っていない旧タイプのボディーマウントTNカプラーの車両はしょっちゅう脱線する。このような車両が走行する場合では、2両が収まる長さの直線を間に入れる必要がある。

2003年の大学祭での脱線多発箇所の一例。C280-15の間にS70。

翌2004年の大学祭で間の直線をS140に伸ばしたが、ボディーマウントTNカプラーの4両編成はしょっちゅう脱線した。

更に翌々年の2006年の大学祭では間に280mm以上の直線を入れて改善した。

また、車体間に連続する外幌を再現したKATOのN700系新幹線16両フル編成では、ポイントに続けてポイント用カーブを使って本線に平行にする配線は避けた方がよい。ポイントが続くヤードの場合は、本線から1番目の線路ではなく、2番目以降に収容すること。

小半径で長さが短い(15°等)のレールを単独で曲線を作らないこと。実物でも曲線全長が最大車両長以下の曲線は、ポイント付帯曲線以外では通常避けるようになっている。短編成で台車マウントカプラーの場合ならよいが、新幹線フル編成やブルートレインフル編成などの場合は、ヤード内等だけにして、本線上には作らないこと。

図のような配線は小型車両・短編成でのみ使用するのがよい。

特に、小半径で長さが短いレールでのS字曲線は作らないこと。例えば、TOMIXのC280-15での複線間隔変更とか。KATOの(カントレール発売以前の)振り子機構の車両がほぼ必ず脱線する(低速でも)。(なお、現行の振り子機構の車両の場合はよく知らないが、このような線形自体を避けた方がよい。)

カタログに掲載されている公式ではあるが、小型車両・短編成・台車マウントカプラーでのみ使用するのがよい。

新幹線フル編成16両やブルートレインのフル編成などの長編成の場合では、四角形の四隅の90度以外では曲線は入れないほうがよい。ポイント用カーブを使って斜め15°の部分を作るのも避けたほうがよい。例えばC541-15を2本使い、間にS280を1本入れるといった場合でも脱線することがある。また、四隅の90度カーブの近くに斜め15°などの部分を作ることも避けたほうがよい。

2006年大学祭での脱線多発箇所。長い直線区間に馴染ませ繋ぎでS字カーブ(間はS280)。編成は新幹線16両フル編成。

2009年大学祭での脱線多発箇所。右のホームからポイント用カーブで斜めになった長い区間と、左の90度カーブ。車体が軽いコキ26両フル編成などでは、内側に車両が引っ張られて脱線することが多かった。

TOMIXの場合、普通の長さの車両である程度の長さの車両を走らせる場合、C243-45は本線上では絶対避けること。また、最小半径を317mmにまで制限すると、驚くほど脱線が少なくなる(2002年文化祭で実施)。

Bトレイン・ショーティを走らせる線路では、バンダイの動力ユニットの最小半径は公称で216mmとなっているため、通常のレールでエンドレスを作ること。また、小田急のように長い連節車もカーブには弱い。Bトレだからといって、ミニカーブやスーパーミニカーブレールを使用して大丈夫とは限らない。スペースがあるなら、本線は通常のカーブだけにした方が、見た目の面からもよい。またヤードを分岐する時は、ミニポイントの分岐側を通らずに入れる線路を作っておくこと。

ポイント関係の回避事項

体験運転用のエンドレスには、入口が片側だけのヤードを設けて、両側に出入口のある駅は作らないこと。ポイントの直線側だけを走行するようにする。あるいはホーム等は置いても、線路配置は入口を片側だけにする。なお、2、3両しか走らないのであれば、通常の駅を作っても問題ない。またKATOの6番ポイントの場合はこの問題は小さくなるだろう。

またポイントの数が決まっているとき、留置車両を最も多くできるのは、出入口が片側にだけあるヤードである。駅の線路本数を増やして留置車両を増やす場合は、入口だけでなく出口の分のポイントが必要なので、基本的にヤードの2倍の個数が必要となる。

2007年の大学祭からは、新幹線16両フル編成体験運転・持ち込み運転用の部分は、全て線路を行き止まりとした(赤枠部分)。なお、本線と1番目の留置線との間にはホームを入れている。

TOMIXのカーブポイントを使う場合は、大きな馴染ませ繋ぎが必要なため、本線からのヤードの分岐、あるいはヤード内の分岐に使うのがよい。

メーカーにもよるが、SLはTOMIXのP280-30ポイントの分岐側は通れないと思ったほうがよい。同様にY字分岐・3方ポイントの半径の小さい側やダブルスリップのカーブする側も避けること。SLの入線するヤードには、通常のポイントとポイント用カーブだけで入れる線路を設けるのが一番よい。

TOMIXのネクストネオより前のポイントと、ネクストネオ以降のポイントは、混在させないこと。レバーと転換方向が逆になっているので、錯誤防止のため、それぞれ固めて配置するように。予め配線プランを立てる段階から、それぞれの個数を把握して割り振りすること。

部室がない場合など、レールを自動車で運搬して運転会を行う場合では、(特にTOMIXの)ポイントだけは、トランクルームに入れずに座席の上かひざの上に載せること。部室がもらえて車を使って部室まで運んだ年まではポイントの故障が多発していたが、部室から台車で運ぶだけの翌年からはポイントの故障は一切なくなった。100円ショップのプラスチックケースにポイントレールをそのまま放り込んでるような場合は特に重要である。

TOMIXのネクストネオ以前のポイントを電動で使う場合は、電動ポイントマシンが線路と線路の間に入らない場合があるので注意すること。

ポイントマシンが取り外せるタイプの場合、図の緑の電動ポイントマシンの部分が、水色の部分で重なってしまう。

ポイントマシンが一体になっているもっと旧いタイプの場合は、ポイントと普通の直線レールの場合でも、図の水色の部分が干渉してしまう。

TOMIXの両渡りポイントを勾配中に設けてはならない(メーカーも公称)。このポイントは中央部分が膨らんだ形をしていて、渡る場合は逆カントがついた状態になる。渡る時もスピードは、通常のポイントでの片渡りよりも低速で行うこと。またどうしても勾配中に入れたい場合は、その部分だけを水平にすればよい。レンガ橋脚では、同じ高さの部分を作ることは容易である。

TOMIXのネクストネオ以降のポイントは、レバーに付いている磁石が、ポイントマシン内の鉄板に吸い付くことのより、トングレールの先が固定されている。特に電動である必要がない場合は、手動ポイントを買うのがよい。電動ではケーブルを邪魔にならないようにする必要がある。

机の角が丸くなっている場合では、そこから下に垂らす方法もある。針金入りのケーブルを束ねるやつで束ねた上で、養生テープを使って机に固定する方法もある。

手動ポイント用のマシン部分がある場合は、なるべく混み入った場所から手動ポイントマシンを使うとよい。

普通のポイントの先に、普通のポイントと3方ポイントを繋いだ部分。写真ではポイントマシンを外しているが、フロアレイアウトで電動ポイントマシンでは、ケーブルの取り回しに一番難儀する場合だろう。

別の方法としては、「フロアレイアウト・運転会用小ネタ」のように、電動ポイントマシンを外して鉄製ワッシャーを接着する方法もある。この方法を会で保有のポイントに使って、手動マシンを個人所有の電動マシンに回すこともできる。

見た目より機能を重視する場合では、ネクストネオ以降のポイントレバーには色を塗る方法もある。また、道床側にも色を付けて、レバーがどちら側にあるのか目立つようにする方法もある。

高架関係の回避事項

TOMIX車両で台車が旧集電で室内灯を入れている場合、長編成では坂を登らない。TOMIXの複線高架レールでは、橋脚の間隔を通常の倍の間隔(280mm間隔)に広げて勾配を半減することもできるが、ブルートレイン15両フル編成の前では無意味である(登らない・勾配を入れてはならない)。新幹線16両フル編成を走らせる場合でも、勾配は入れてはならない。あらゆる編成に対応させることを考えると、勾配のないエンドレスを少なくとも1つは準備しなければならない。

固定式レイアウトで、スペースに余裕があり、長編成を走らせる場合は、勾配はできるだけ緩やかにしなければならない。標準勾配は短編成で遊ぶとき用のものだと認識しておくこと。各社のホームセットの長さを見れば、どれくらいの長さで遊ぶことを基準にしているか、だいたい想像できるだろう。また、Bトレイン・ショーティを走らせる線路には、勾配は設けてはならない。

勾配の半減は、TOMIXの場合は橋脚の間隔を280mmにできる複線の高架レールで行うことができる。またKATOではレールも高架枠もがっしりしているので単線高架でも複線高架でも行うことができるが、勾配橋脚の間隔から単線用の勾配橋脚を使う必要がある。基本セットと、補助セットにSジョイナーを取り付けたものを使用すれば、勾配を半減することが可能になる。

TOMIXの橋脚は、カップリングが枕木方向を軸とした回転だけではなく、レール方向を軸とした回転もできる構造になっている。そのため、カーブしながら坂を登って直線となる場合、斜めになっているカーブ部分につられて、直線部分がレール方向を軸として斜めになりやすい。長い直線と長編成の組合せでは、いきなりカップリングが曲がる最大のところまで斜めになって、全車横転ということもしばしばある。重心の高い機関車や旧式動力ユニットの場合は更に起きやすくなる。

極端な例の写真。後の曲線部分の勾配につられて、手前の直線部分が斜めになっている。写真の角度が斜めになれる限界の角度だが、いきなりこの角度に倒れれば横転してしまう。

単線高架レールで複線としている場合は、曲線との境界付近に複線高架レール等を入れるとよい。なお、曲線の隣にトラス橋を繋ぐと、車両がトラスに接触するので間に直線を入れること。

TOMIXの橋脚のカップリングがレール方向を軸として回転できるのは、複線橋脚の場合も同じである。そのため長い直線と長い編成の組合せになると、車両の重みで複線高架レールが沈んで斜めになることがある。

曲線との境界付近や所々に、複線トラス橋や複線ガーダー橋の橋脚を使って、単線高架、単線橋梁、複線橋梁を入れる方法がある(複線ガーダーの場合は裏からネジどめ必須)。橋脚の間隔を倍(280mm間隔)にして勾配を半減させている場合はトラス橋を入れるとよい。また、はじめからカップリングを使わず、複線橋脚にそのまま複線高架レールを載せる方法もある。

登り坂から水平に変わる地点(凸型の勾配変化点)を、曲線と直線の境界や、曲線の途中に入れてはならない(長編成の場合)。特に機関車牽引の場合など、内側に斜めに引っ張られるかたちになり、脱線しやすくなる。坂を登って水平に変わる地点は、カーブを過ぎた1本目の直線と2本目の直線の間に移動させるか、カーブの手前の1本目の直線と2本目の直線の間に移動させて、対応するとよい。

坂を下りて水平になる地点(凹型の勾配変化点)を、カーブの手前に持ってこない方がよい(長編成や標準勾配の場合)。下り坂ではスピードが上がる。そして水平区間の車両を、坂の途中の車両が後から押すかたちになる。カーブはただでさえスピードが速いと脱線しやすい上、直線よりも走行抵抗が大きい。そのため水平区間のカーブに入った前方の車両を、後方の車両が横や斜め方向から押すようなかたちになり、更に脱線しやすくなる。坂を下って水平になる地点は、カーブを通り過ぎた場所に移動させて対応する方がよい。

逆方向から見て、水平な区間から上り坂になる地点(凹型の勾配変化点)は、カーブの途中や直線とカーブの境界に持ってこない方がよい(長編成や標準勾配の場合)。機関車牽引の列車の場合など、内側に引っ張られるかたちになり、脱線しやすくなる。カーブの1つ手前の直線と、2つ手前の直線の間に、勾配変化点を移動させた方が安心できる。

TOMIXの島式高架駅の中間プレートと複線ガーダー橋を直接繋ぐ場合や、島式高架駅の単線から複線になる部分2枚に続けて複線ガーダー橋を繋ぐ場合などは、高架枠の棒(爪)の部分が干渉してそのままでは取り付けられない。相手側に切れ込みを入れたり削ったりが必要になる。

ネクストネオより前のポイントは、複線ガーダー橋で使用できない。転換レバーが飛び出ていて干渉するため、加工が必要になる。ただし見た目を気にしない場合では、ポイント部分の下には高架枠もガーダー橋も入れず、レールをちゅうに浮かす方法で対応することもできる。

同じく、ネクストネオより前のカーブポイントと複線カーブガーダー橋の場合でも、そのままでは使えない。ただし、半径317mmのカーブから内側に分かれて複線にする場合に限っては無加工で使用可能と思われる。なお見た目を気にしない場合では、15°刻みの複線カーブガーダー橋を全て(6個)使わず、間を空けて、干渉部分を避ける方法もあるものの、使える保証はない。ネクストネオより前のカーブポイントと、ネクストネオ以降のカーブポイントとでは内側の線路の形状が異なり、旧製品の方が内側に張り出した形になっている。

TOMIXの高架対向式ホーム駅の高架部分は、実際には140mmより長い。ファイントラック以前のレールでは、隙間を空けて繋ぐことによって対応できるが、ファイントラックの場合では無理である。S72.5+S70を挿入するか、見た目を気にしない場合では、1箇所高架部分を外して、レールとホームが浮いた状態にする方法がある。あるいは、ファイントラックの爪を折って隙間を空けて繋ぐ方法もあるだろうが、脱線の危険性が増すのでおすすめできない。

写真では、プレートを1つ外して、レールとホームが浮いた状態で対応している。

TOMIXの複線高架レールと単線高架レールでは、厚みが勾配橋脚の1段分(5mm)程度違うので、混用する場合は注意すること。裸の単線レール、単線高架レール、複線高架レールなどを混用したり、複線橋脚で単線橋脚を支えたり、単線橋脚で複線高架を支える場合は要注意。

TOMIXの複線スラブレールで複々線にする場合は、複線水平橋脚を90°回転させ、カップリングを3個使えば、車両の重みでレールが沈むことはなくなる。見た目を気にしない場合では、同様に90度回転させれば、ワイドPCレールで3線や、複線スラブレールとワイドPCレールの組合せた3線でも、カップリングを2つ使えば、車両の重みでレールが沈むことはなくなる。

見た目を重視しない場合、TOMIXの複線水平橋脚を90°回転させると、単線高架レールの約11番目の高さの橋脚として使用することができる。

TOMIXの単線レールには直接橋脚を取り付けることができる。見た目を気にしないなら、この方法で立体交差を作って構わないが、机の端に近い場所や、他のエンドレスを跨ぐ部分や、他のエンドレスと隣接する区間では避けるのがよい(高架レールや橋等、壁等のあるレールを使うとよい)。

また、立体交差で高架レールを充分な高さにできない場合で、もう少しだけ高ければ充分という場合では、その部分だけを、ただの地上レール等にする方法もある。この場合でワイドPCレールを使う場合は、短い区間に限定すること。(TOMIXの単線レールは途中に橋脚をつけることができるが、ワイドPCレールは下に単線高架用のベースがないと橋脚を取り付けることができない。KATOのレールの場合は道床が頑丈なので問題は起きにくいだろう。

レール配置に関する事項

短小レールの連続は避ける。レール繋ぎが煩雑になっても、S280・S70・S280・S99・S280といった順番にする方が脱線のリスクが減る(特に長い編成の場合)。またTOMIXの場合では、S18.5は、S158.5(=S140+S18.5)を使えない場合にのみ限定して使うべきである。

TOMIXのポイント用カーブC541-15で長い斜めの部分を作らないこと。実際には15°より少し角度が浅いので、TOMIXのレイアウターを使うのでない限り、おすすめできない。

特に長編成の場合では、本線上のポイントの前後に繋ぐレールは、できる限り長いほうがよく、直線の方がよい。本線上のポイントと本線上のカーブの間の長さもできるだけ長くした方がよく、長いレールから順にポイントやカーブから繋ぐこと。カーブと直線との境界付近でも、カーブに続くレールは長いものから順にすること。また、本線上のポイントとカーブが近い場合では、ポイントのカーブ側から本線に合流してきた列車が、ポイントと同じ向きにカーブするようにし、S字曲線とならないようにすること。これらは長編成の場合重要である。

TOMIXのレールの場合でフロアレイアウトの場合は、高架区間と平行する地上区間の複線間隔を37mmにしてはならない。フロアレイアウトでは少しでもずれると、車両が橋脚や高架枠に接触してしまう。対策としては間隔を55.5mm以上に空ける方法と、ワイドPCレールや複線高架レールを地上に敷くなどし、接触自体がありえないようにする方法がある。

なお、KATOのレールの場合では、直線区間に限って言えば、車体が道床幅からはみ出すことはない。そのため地上側の曲線部分に注意すればよいが、間隔を広げておくにこしたことはない。

マイクロエースのDD51(発売時期によって仕様は違うと思うが)の中間台車は、台車を付ける車両側の突起がレール上面より下に飛び出している製品がある。ポイントで大きく揺れる他、踏切やワイドトラムレールで踏切状にした部分などに引っかかって脱線・転覆しやすい。このため渡り板状の物が一切ない線路を一つは設けなくてはならない。機関車牽引なので短編成で勾配のある線路から、勾配のない線路で長編成を重連まで考えられるので、どちらの場合でも対応できるようにすること。

KATOのUNITRAMでは、車両メーカーによっては車輪の内側の幅が狭く、走行できないことがある。路面電車用には、UNITRAM以外の線路も用意しておく必要がある。

脱線復旧の観点からは、特にこだわらない場合は、フロアレイアウトには架線柱は付けない方がよい。また、ヤードには特に付けない方がよい。

なおTOMIXの場合、架線柱の台座を、複線間隔保持に使うことができる。KATOは薄いので外れやすく、この用途には向かない(また、使うとしても複線までになる)。

複線間隔を保つ方法としては、TOMIXの場合では要所要所にワイドPCレールを使って間隔をきっちりと固定する部分を設けるのがよい。またKATOの場合でも、複線レールを互い違いにすればよく、TOMIXの複線高架レールでも同様のことはできる。

机の端とレールの間には充分な間隔を空けるのがよい。そうできない場合は、TOMIXでは複線高架レール等を使うよとよいだろう。

予め机とレールの配置について線路配線図を作っておいてその通りにする場合では、机の端とレールとの間隔や、高架レールと地上レールの間隔は、プラン図より広げたくなるのが人間の心理である。しかしそうするとエンドレス反対側で逆に狭くなる場合もある。

これらの間隔の面からエンドレス全体では綱渡りするような配置の場合、机をきちんと並べていないだけで、後から大問題になるので、充分注意すること。この様な配置の場合、最初に机を並べる時に、とにかくきっちりきれいに並べること。このことを他人に理解させるのは困難極まりないので、最初の机の配置については、配線設計者が全責任を持ってとにかくきちんと机が並ぶまでレール繋ぎを始めさせないこと。

また人間の心理として、安全な側に間隔をあけたくなるものである。なのでなおさら、物理的に衝突しえないように前述の方法をしっかり使うのがよい。

左側は、踏切線路とワイドPCレールで、3箇所で複線間隔を固定している。右側は、一番手前の黄緑の部分は、複線高架レールとの接触防止のため、内側のヤードにワイドPCレールを使っている。ピンクで囲んだ部分は複線間隔の維持を行っている部ではあるが、特に黄緑で表した部分は接触防止のためのものである。手前から、ワイドPCレールとKATOの複線橋梁、KATOの踏切線路とTOMIXの通常の線路、ワイドPCレールと橋脚、最後は、複線高架レール同士と、複線高架レールと橋脚の接触防止。

複線間隔維持の方法。TOMIXの複線高架レールと通常のレールの間には、ワイドPCレールのバラスト部分などを入れている。複線間隔が55.5mmの区間では、右のようにワイドトラムレールをカットして横に繋げる方法がある。

左はワイドトラムレールを使うことにより、何かの拍子にレールがずれて車両が接触するのを防いでいる。ただこのようにレールを繋ぐだけで安心感があるので行った方がよい。右の写真では、左側のエンドレス(本線)が机の端に近いために壁のある複線高架レールとしている。そのためヤードの車両との接触防止のため、ワイドPCレールを使っている。

カーブポイントは馴染ませ繋ぎが必要になるため、前後をワイドPCレールとワイドトラムレールで挟んで、複線間隔を維持している。また左上のワイドPCレールの部分は、高架の立ち上がりの部分にそのまま繋がっている。ワイドPCレールで間隔を固定しておくことにより、レールがずれて車体が高架に接触することを防止している。

ヤード終端の先に机の端がある場合、必ず車止めレールを繋ぐこと。(代わりに何かしっかりした障害物を置いてもよい。)

また、ヤード終端の先に別のエンドレスの本線がある場合も、できるだけ車止めレールを繋ぐこと。(その本線のヤードの場合、行き過ぎて脱線しても、同時にその本線を走る列車はいないため、行き止まりの先が他のエンドレスの本線の場合を特に重視し、優先すること。

他にも、列車に対してヤードの長さがぎりぎりの場合も、車止めレールを繋ぐのがよい。特に体験運転でヤードに戻すところまで運転してもらう場合は、車止めレールを繋ぐか、しっかりと過走余裕をもたせること。

運転会での机やコントローラーの配置

コントローラーの前後切り替えの向きと、目の前の列車の進行方向は揃えること。錯誤が多くなるし、特に体験運転では絶対に避けなければならない。TOMIXのように矢印の場合は、その向きと列車の進む向きを合わせる。KATOのように前進・後進の場合は、前進が通常の進行方向にする。TOMIXの5001はつまみが中央で停止で、左右に回すと回した向きに列車が走るようにする。

また体験運転の場合は、目の前を駅のホームにするのがよい。子供達の順番待ちといった状況になったなら、きれいに駅に停車させて、交代してもらうかたちになる。

ケーブルの長さの関係でコントローラーを所定の場所に置けないという場合は、延長ケーブルを使うこと。特に、スピーカーの端子と廃家電のコードを使うと、良質な(電気抵抗の低い)延長ケーブルを作ることができる。自分のいた鉄研では、基本的にTOMIXの旧タイプのフィーダーやフィーダー延長ケーブルを常用し、ネクストネオのコネクタやKATOのコネクタとは、変換ケーブルを作ることによって対応していた。安価にケーブルを伸ばすのにはいい方法である。

左から、スピーカー端子を使って作ったTOMIXの旧製品と互換性のあるフィーダー延長ケーブル。上からACアダプターのケーブル、キーボードのケーブル、家電製品のAC100Vのケーブル。中央は、各種変換ケーブル。上はTOMIXのネクストネオのフィーダーケーブルを持っている人のに繋ぐ用。下は、コントローラーから延長ケーブルに繋ぎかえるためのもの。右はフィーダーケーブル。私や会が保有のものは、このようにTOMIXの旧式に合わせて加工していた。因みにこのフィーダーケーブルはどちらもハンダ付けして延長している。

机に番号札が貼り付けてある場合は、それを避けて線路を配置すること。このことを考慮したうえで、線路配置図を作ること。

机の番号札を避けて線路を敷いた例。

手が届く範囲には注意すること。手が届く範囲は60cm程度までだと思っておいた方がよい。場合によっては、内側から体を出せる通路と机の穴を設ける必要がある。靴を脱いで机の上を横断しなければならない机の並べ方はおすすめしない。

また、机の形状によっては、下をぐぐって内側に入る通路を作ることに注意をはらう必要がある。例えば、教室の折りたたむことのできない長机が、横方向の棒の高さの関係で、ホフク前進でないと下を通れないことがある。この様な机の場合、座る側が内側になるように2つ向かい合わせすることで、横方向に下を通る通路を設けなければならない。なるべく客が多くは来ない場所に設けるのがよく、日の字形に8の字エンドレスという場合は、必ず内側で両方を行き来できるようにしておくこと。この通路は、内側でコントローラーを配置する場所は避けたほうがよく、できるなら両端に1箇所ずつある方がよい。

机の形状によっては、通路の確保は重要な項目である。

机の配置と通路の配置の例。私のいた鉄研では原則体験運転でコントローラーが外側にあるため、お客様の邪魔にならない場所に通路を作ることが重要であった。お客様が多い場合に備えて、出入り口は多いにこしたことはない。

会場の机の端部がゴム等で丸くなっている場合では、長さを測るときは図のように2つ並べて行うのがよい。コンベックスの端の引っかける部分は、外径と内径のどちらも測れるようにするため、厚みの分だけ動くようになっているので注意すること。

机を2つ並べてから、上面の端部の間を測る方法がある。

コンベックス(メジャー)の端のL字形の部分は、図のどちらの場合にでも対応できるよう、厚みの分だけ動くことができる。角が丸い机を2つ並べて測定する時は注意するように。

ケーブルの引っかけ防止を行うこと。子供達は模型を見て走って追いかけたりする。電気配線は絶対に足が引っ掛からないようにしておくこと。引越しの時に緩衝剤などを壁に貼ったりする時に使う、貼って剥がしても跡が残りにくい養生テープを使うのがよい。これでコードを全長に渡って床に貼り付けておくこと。踏んでも大丈夫な太いコード(リールとか)を使うといいだろう。なお養生テープはホームセンターに行くと売ってある。緑色のものが多い。わからなかったら店員に「ヨウジョウテープ」がどこにあるか聞けばよい。ガムテープ売り場とは別に、マスキングテープ売り場にあることも多い。

TOMIXのN1コントローラーは、目盛がわかりにくい形状なので体験運転には使わないほうがよいが、別の面からも、このコントローラーは運転会で常用しない方がよい。このコントローラーは、ショート等で過電流遮断回路が動作した状態が繰り返し(長時間)おきるとか、電源を落としてからの再投入するまでの時間が短すぎて再び赤ランプが点灯するとかを繰り返すと、正常に機能しなくなる(レバーを操作しても車両が走らなくなる)。1週間かそれくらい放置すると正常に機能するようだが、翌日まで電源を抜いて放置程度では復活しないことが多い。トラブルがあったときのための予備のコントローラーとして使うことにしていた。

TOMYTECの鉄道コレ動力ユニットや、KATOの小型車両用動力ユニットなど、PWM方式のコントローラー以外では低速運転(スロー)が効きにくい車両の場合、コントローラーと線路を繋ぐフィーダーケーブルの間に抵抗を入れて対応する方法がある。この場合、抵抗の発熱に注意を払う必要がある。(容量の大きい抵抗を使うこと。発熱の面からはセメント抵抗がおすすめである。)