レールクリーニング液を使用する場合は換気をしなければならないが、換気を促すためか、香料が入れてあるものもある。なので手荒れ防止に加え、手に臭いが付かないようにするため、使い捨てのポリエチレン手袋などを使うとよい。これを使えば、使用後もずっと手に臭いがついたままという状況を避けることができる。なお、ポリエチレン手袋は100円ショップ等で100枚単位で売ってあるので、そう簡単に使い切ることもないだろう。
TOMIXのファイントラックでは、プラスチックの爪が折れているものは、パチッとははまらずユルユルになる。本線上では使わず、ヤードの端や、レールを1本ずつ並べて小型車両の展示用に使うとよいだろう。自分のいた鉄研では、不透明で耐久性のあるマーカー(三菱ペイントマーカー)で、目立つ色で爪の部分を表と裏から塗り、一目で問題のあるレールだとわかるようにしていた。(もちろんレール磨きの時に分けて収納しているが、運転会後の片付けの時も一目でわかるので便利である。)
TOMIXの初期のステンレス製のレールは使わないこと。使うならヤードの端や、1本ずつ並べて小型車両の展示に使うのがよい。車両の車輪の方がだめになるので、両側のプラスチックの爪の裏表を上記と同じくマーカーをしっかり塗り、裏に大きく「ステンレス」と書いて、これも爪折れ等の傷物とあわせて保管していた。またこれらのプラスチックの爪の先が丸いタイプの旧いレールは、ファイントラックと接続すると隙間ができてしまう。材質変更後もプラスチックの爪が丸い形状のまま製造された製品があるようだが、この場合は、爪の先を切ったり削ったりする方法がある。またそうすることにより、ステンレス製ではないことを明確に識別できるようにすることもできる。
KATOのレールは、畳などの段差があるところにそのまま敷くと、レール同士に小さな段差ができてしまうことがある。TOMIXのレールクリーニングカーの説明書には、レールの段差に引っ掛からないように、貼り付けてある円形の縁の部分を、押さえて斜めにするようにと書いてある。TOMIXのレールの場合では、これで問題はないが、KATOのレールで上記のように段差がある場合、段差に引っ掛かって大きく跳び上がって脱線転覆する(引っ掛かった部分が回転しているので、通常の脱線転覆とは規模が違う)。そのため、KATOのユニトラックでTOMIXのレールクリーニングカーを使う場合は、平らな場所でレールを敷き、段差が無いかよくチェックしてから行うか、そもそも使わないようにするかのどちらかになるだろう。ジオラマに固定する場合は、この点に注意して固定した方がよいだろう。大事なジオラマの中で重い車体が跳ね飛ぶことは避けたいはずだ。
TOMIXのS70を単線高架にする高架枠は、作業簡略化のため、もう片方の側壁等の部分を、ホットボンド等、剥がすことのできるもので、予め固定しておくとよい。また、孔を開けて予めレールをネジで固定する場合は、前後に単線高架レールを繋いだ状態で、ずれないように注意して行うこと。なお、レールの固定については、TOMIXの複線ガーダー橋にS140という場合も行っておいた方が何かと楽である。
新品のレールは磨くこと。新品のレールの表面は、微細な金属の粉が付着した状態になっている(メッキの表面は微視的には平らではなく、デコボコだったりギザギザだったりする)。そのためこの状態ではスパークが発生しやすく、レールがすぐに汚れる。「新品のレールだから磨かないでいいや。」と言って使っている部分が真っ先に通電不良になって、磨くと真っ黒になるのはこのためである。ただ、あまりにも強く不必要に長く磨くと、メッキ自体が剥げるので、新品のレールを磨く時は、ピカピカ光るのが着くのが少なくなったくらいで、布などの新しい部分を使って、もう殆ど着かないと確認してから終わりにするのがよい。このときは、布の新しい部分を使うこと。布に汚れがついているのと交差する向きに磨くと、布についた汚れをレールで別の方向に引き伸ばしているだけの場合が多いので注意すること。
古いレールや中古レールを磨くと緑色の汚れがついた場合、これは銅の錆びの緑青である。新品のレールを磨かずに使って、微粒子の層の上に錆が付着しているだけの場合は、復活可能である。念のため、私は錆防止のグリスを薄く塗っていた。通電性のあるタミヤの接点グリスを少量布などに塗り広げ、それでレール上面を拭っている。軟らかい布だと側面にも同時に塗布しやすくなる。スリップを防ぐため、多量に塗布することのないように。
磨いても磨いても緑青が付く場合、塗装剥がしに使うIPAに漬けて少しジャバジャバっとして取り出して磨くと落ちやすいが、枕木やバラストの塗装はやられる。無理なら諦めて棄てるのが賢明だろう。特にメッキではなくレールそのものが錆びているKATOのレールの場合では、砂消しゴム等で削り取って、削りカスを徹底的に取って、綿棒などを使って、レール側面にもしっかりグリスを塗るのがよい。
なお、レールが1本でも錆びていたら、そのエンドレス中の全てのレールと車両がやられてしまうと思っておくこと。特に集電性向上剤のロコを使った場合、これが顕著である。ロコが伸び広がって行くのに合わせて、錆もどんどん広がる。
また、現在製造中止になっている、IPA(イソプロピルアルコール)99%以上の接点復活剤には、錆びた銅を還元して錆を無くす効果があるようで、元々は、これで取り除けずに残った錆を還元した上で、接点グリスを塗布する方法をとっていたが、現在は入手困難である。
なお、タミヤの接点グリスを塗布したレールにそのままロコを爪楊枝などで塗ると、化学反応を起こし、その部分のレールに銅の単体が付着することがある。
TOMIXのファイントラックより前のレールの場合、接続時に、金属ジョイナーの上にレールが乗り上がって段差ができていることがある。そのため最初の走行テストは重たい機関車1両を使い、各方向に走らせ、常時目で追えばよい。揺れたところには必ず何かある(普通は落ちる方の段差)。跳ね上がったり脱線転覆の場合は、乗り上がりの段差。これはきちんと目で追えば、各方向に1周で充分である。
またヤードのポイントの通電チェックも、短い機関車1両の方が楽である。ポイントの不調の場合は、完全に枝の先が使えないのか、常時片方向に通電、あるいは片方向に切り換えた時だけそちらに通電の、3つの内のどの症状なのかを確かめ、分岐側しか使えない場合などでは、とりあえずヤードの末端に繋ぎ変えて、できる限りヤードの機能を維持できるようにするのがよい。有効長の観点からも、直線側のみの場合でも、末端に移す方がいいだろう。分解・修理よりも、時間までの開場を重視するのがよい。分解・修理は、開場後に手が空いた時にでも大丈夫である。
枕木にレールを固定する突起が複数に渡って破損してレールの間隔が広くなっている場合、特にカーブレールの内側やポイントレールのカーブの内側などの場合は、スパーXなどの接着剤で固定することができる。スーパーXはセメダインから発売されているもので、空気中の水蒸気と反応して固まるところは瞬間接着剤と同じだが、硬化時間が長く、弾力性があり、かつ、盛り上げても硬化する上に強度を保てる。なお、硬化までの間は養生テープ等で固定しておくこと。またシンナーが揮発するタイプの合成ゴム系接着剤としては、鉄道模型の工作をする人では、透明のコニシのGクリヤーが思い浮かぶ人が多いだろうが、この手の接着剤では固定できない。合成ゴム系接着剤は面でないと強度が出ず、盛り上げると強度を保てないどころか、先に外側が硬化するため、行き場のなくなった内側のシンナーが内部で蒸発し、中が小さな気泡だらけになる。その上何日か経ってからカッターで切ると、中は固まってなかったりする。この手の接着剤は、強度が必要な場合は、面同士の貼り合わせ以外には使わないこと。
枕木にレールを固定する突起が複数にわたって破損してレールの間隔が狭くなっている場合、小さな釘や犬釘で固定する方法もあるだろう。バラスト部分が深いTOMIXではプラスチックの角棒や三角棒、バラスト部分が浅いKATOでは厚目のプラ板等を使って、枕木の間の部分にりれてつっかい棒にするとよいだろう。接着剤は、合成ゴム系を使うといいだろう。その際は、車輪が接触しない高さになっているか、注意すること。(他の突起より低ければよい。またプラスチックは刃物やヤスリで簡単に削れるので、接着する前に高さを確認すること。)
ファイントラックの金属ジョイナーについては、交換用ジョイナーの説明書に取り外し方が書いてあり、その通りにすれば簡単に交換できる。また、ファイントラック以外のレールの場合でも、金属ジョイナーが外れて紛失している場合は、ファイントラック用のジョイナーを、ファイントラックの場合と同じ方法で取り付けて使うことができる。
ファイントラックになる前のレールの金属ジョイナーが破損していて修理不能の場合、次の方法で取り外すことができる。まず、上からマイナスドライバー等をジョイナーの隙間に挿し込み、こねるようにして、ジョイナーの開いた部分をさらに広げる。その後、ジョイナーとレールの隙間にマイナスドライバー等を差し込んでこねて、広げる。ドライバーで広げ終わったら、先の細いラジオペンチ等で、レールから飛び出ている部分を平らになるように広げる。ここまで広げると、ジョイナーとレールが溶接された部分を中心に、ジョイナーを水平方向に回転できるようになる。何回か左右に回すと、簡単に外れる。
KATOの6番ポイントを分解し、中の基板を取り外した場合、基板に接触している接点を、元通りに基板に接触させることは困難である。そのまま金属製の裏蓋を取り付けると、裏蓋と接点が接触し、ショートする。裏蓋にセロテープを貼る方法もある。接点をしっかり接触させたい場合は、車両ケース等のスポンジ状のものか何かを薄く切って挟む方法もあるだろう。また抜本的には、ハンダ付けになるだろう。
TOMIXのネクストネオより前のポイントを分解修理する場合、先の細い精密ドライバー等で、金属製の裏蓋の爪を広げる。(これはドライバーの本来の使い方ではなく、中心軸が斜めになる原因となる。きちんとした精密ドライバーをきちんと使いたい場合は、100円ショップ等の安物を別に買って使う方法もある。) 爪を広げ終わったら、裏蓋が外れないように注意しながら、裏返す。裏返してから蓋を取り外すが、この時、部品が裏蓋にくっついて外れ、その後に裏蓋から落っこちることがある。また、開けると同時に部品が外れて飛んでいくこともある。なので丁寧にゆっくり開けること。
問題がある場合(部品が外れている等)対応して、蓋を閉める。部品が再び外れないように慎重に、先の細いラジオペンチ等で、部品の外れにくさなども考えてから、順に爪を挟んでいく。一通り爪を曲げた状態では、まだ蓋が完全には固定できていないことがある。なので蓋が外れないように慎重に表に向ける。精密ドライバー等の先で更に爪を押して固定する。なお、この時期の製品の分解・修繕は慣れてないと難しい。
ネクストシリーズより前の製品(電動部分が取り外せないもの)の場合は、接点の不良の場合は、電動ポイントマシン部分の部品をハンダを外して取り外さなければならない。また、車輪を傷めるステンレス製でもあるため、復活は断念した方がいいだろう。あるいは、レールをハンダ付けして、ポイント用カーブレールの代わりか、安全側線の分岐にでも使う方法がある。
ネクストネオ以降の場合、裏板が電気配線の基板になっていて、ネジどめになっている。裏返してネジを外せば分解できるが、開けるときにくっついたり跳ね飛ぶことがあるのは同じなので、ゆっくり慎重に。部品が外れている場合は、元に戻す。また、接点の部品が錆びて緑青が出ている場合は、紙ヤスリ等で削り取り、削りカスをしっかり取ること。再酸化防止のため、タミヤの接点グリスを薄く塗布する。
部品が再び外れないように慎重に蓋をして、完全選択式より前の製品の場合では、トングレールの付け根付近の、可動部分の回転軸のネジを最初に締めるのがよい。なお、完全選択式では、接点の部品点数が多いので注意すること。また、レールと基板との接点に、コイルバネを使用しているので、跳ねたり飛んでいったりには注意すること。
TOMIXの完全選択式以外のポイントでの脱線が多い場合、トングレールの回転軸の部分が緩くなっている場合がある。ネクストネオのものは、プラスチックのネジを、手の爪かピンセット等で締めればよい。ファイントラックのものは金属のネジをプラスドライバーで締めればよい。どちらも締めすぎには注意すること。
ポイントでの電圧降下によるヤードの通電不良について、特に交換が難しいジオラマでの使用を念頭に、対策を記す。
TOMIXのポイントを使う場合は、ファイントラックのものでは、ギャップスイッチの接点などに錆びやすい素材が使われているので、避けたほうがよい。完全選択式が発売された後、途中から、接点が全てメッキされたものに仕様変更している。そのため、ポイントの分解・組み立てに慣れているのであれば、完全選択式の製品で新しいものを入手して裏蓋を開けて内部を確認してから使うとよいだろう。
KATOの場合では、接点は昔からメッキされた高品質なものが使われている。KATOの場合で問題になるのはジョイナー部分での電圧降下である。通電状態が悪い場合は、ジョイナーを交換するとよい。また、KATOのレールは(フラックスやペーストといった金属を腐食させる薬剤を使うことなく)、ヤニ入りハンダでハンダ付けできる材質になっている。そのためジオラマなどの場合は、ハンダ付けしてしまう方法もある。
TOMIXのレールで大きなエンドレスでの運転会で電圧降下が問題になる場合は、ファイントラックより前のレールのジョイナーが緩くなっている場合が多い。ラジオペンチ等で慎重に挟んで、きつくするとよい。「レールを繋ぐのにしっかり力が必要で大変」というくらいにまで、ジョイナーを上から見たときの隙間を狭くしていれば、TOMIXの場合では、補助フィーダーは基本的に不要である。
KATOの場合はジョイナーを修理できないという意味で、TOMIXよりもジョイナーでの電圧降下が問題になる場合が多いので、大きなエンドレスでの運転会では、補助フィーダーを準備するのがよいだろう。